映像メディア学

映像表現と技術革新が相互に牽引して発展する今日、映像に関する幅広い知識を有機的に結びつけられる芸術家、研究者が求められています。映像メディア学はそれに答えるものとして、映像を用いて同時代性の高い表現を追求すること、表現手法や基盤技術を開拓することを中心課題とする分野です。また学問への社会的要請として、映像が文化の中で担ってきた役割を明らかにして将来の発展の可能性を示すこと、従来は創作者の経験にとどまっていた知見を公的で共有可能な知識にすることが期待されています。

博士課程のカリキュラム

東京藝術大学大学院映像研究科は創作の現場を持つ特色を生かし、理論と実践の両面から研究を深める環境を整えています。修士課程で映画専攻、メディア映像専攻、アニメーション専攻を担当する教員が、博士後期課程では一つの映像メディア学専攻に集まって講義と演習を行います。個々の学生に対しては、主任指導教員と副主任教員が継続して指導にあたります。学年の進行に応じて研究会発表やサーベイ論文提出を行い、活動業績に基づく予備審査を経て博士論文を提出するプログラムを用意しています。

博士論文の提出に向けては、大きく分けて理論中心の研究方法と、実践中心の研究方法を取ることができます。理論中心の研究方法は、従来から行われているように、論文によって成果を示すものです。実践中心の研究方法は、作品の展示や上映の形で成果を発表し、相補的な関係にある論文と合わせて研究成果とするものです。実践中心の研究方法は近年、特に芸術分野の博士課程で世界的に広まりつつあります。いずれの場合も複合的な分野の性質を反映して、研究科外の専門家を含む委員会を設けて審査を行います。これまでの修了者は、大学教員、独立した研究者、アーキヴィストなど専門性の高い仕事に携わっています。

これまでの博士論文

安本 匡佑
「インタラクティブな映像に存在する持続的なおもしろさの創造」(2009年度)
松浦 昇
「『解體新書』以降の科学書における「撮影」概念の成立」(2010年度)
馬 定延
「日本におけるメディアアートの形成と発展」(2010年度)
齋藤 達也
「表現としての映像の操作と把持」(2011年度)
藤田 至一
「創作における言語化プロセスと水平思考」(2012年度)
津田 道子
「映像の中のSubjectとObject」(2012年度)
劉 璐女册
「移住者の物語:ナラティブの権利としての文化的実践」(2013年度)
赤川 智洋
「物理的素材を用いた新しい表現を展示化する創作プロセス」(2013年度)
横山 昌吾
「デジタルシネマのためのアジャイル型制作体制と編集サウンドデザイナーの提唱」(2014年度)