OPEN THEATER 2025「ドキュメンタリー/フィクションの彼方へ」 モフセン・マフマルバフ監督『パンと植木鉢』を巡って
2025.10.15
イランの巨匠モフセン・マフマルバフ監督は、イラン・ニューウェーブを代表する映画作家のひとりとして、詩情とリアリズムを独自に融合させた作品を世界に送り出してきました。社会の周縁に生きる人々の視点を通して、日常のなかに潜む暴力や希望、夢と現実の狭間を描き出すそのまなざしは、常に観る者に新たな問いを投げかけます。
1996年の『パンと植木鉢(原題:Nun va Goldoon / A Moment of Innocence)』は、マフマルバフの代表作のひとつであり、彼自身の若き日の体験を再構成する、きわめて個人的でありながら普遍的な作品です。
若い頃に政治活動のなかで起こした事件と、そのとき傷つけた元警官との再会をきっかけに、当時の出来事を再現しようと試みる本作は、「記憶」「和解」「演じること」といったテーマを軽やかかつ深淵に掘り下げます。
ドキュメンタリーとフィクションの境界を溶かしながら展開するその語りは、映画というメディアそのものについての問いかけでもあります。
今回の上映会では、作品の上映後、マフマルバフ監督をオンラインでお招きし、創作の背景や映画制作への思想について直接お話しいただきます。
事前申込制 2025年10月22日(水)10:00~ 受付開始
https://forms.gle/dPbWP1rYd891a4k77
※16:00の上映開始後、防犯上の理由により入口を施錠いたします。途中からの参加は出来かねますので、お申し込みの際にはご注意ください。
〈諏訪 敦彦 SUWA Nobuhiro〉
映画監督・東京藝術大学大学院映像研究科教授
1960年広島生まれ。テレビドキュメンタリーの演出を経て、97年初長編「2/デュオ」を発表。完成台本を用いない即興演出が話題となり、ロッテルダム国際映画祭NETPAC(最優秀アジア映画)賞受賞。99年「M/OTHER(マザー)」をカンヌ国際映画祭監督週間に出品し、国際批評家連盟賞を受賞。その他の主な作品に「H Story」「パリ・ジュテーム」(オムニバスの一編)「不完全なふたり」(ロカルノ国際映画祭審査員特別賞)「ユキとニナ」など。17年にジャン=ピエール・レオー主演の「ライオンは今夜死ぬ」を発表。昨年、「風の電話」が第70回ベルリン国際映画祭ジェネレーション14プラス部門で上映され、準グランプリに当たる国際審査員特別賞を受賞した。現在、是枝裕和監督らとともに日本映画界への提言を行う「日本版C N C設立を求める会」の中心メンバーとして活動している。
映画プロデューサー、翻訳家、東京藝術大学大学院映像研究科客員教授。
イラン生まれ、大学卒業後1979年初来日。1982年よりイラン大使館で大使秘書として勤務。1989年帰国後イランイスラム共和国放送で「北の国から」「はね駒」など日本作品を紹介、字幕翻訳を担当。1992年再来日し、NHKでの通訳の仕事を契機に日本でイラン映画に携わり始める。多くのイラン映画作者の作品を日本に紹介し、日本映画のイラン公開にも尽力する。近年は映画製作も手がけ主な作品は「アフガン零年」(2003/セディク・バルマク監督)、「CUT」(2011/アミル・ナデリ監督)、『ライク・サムワン・イン・ラブ』(2012/アッバス・キアロスタミ監督)「MAKI マキ」(2017/ナグメ・シルハン監督)、「ホテルニュームーン」(2019/筒井武文監督)など。
「ドキュメンタリー/フィクションの彼方へ」
モフセン・マフマルバフ監督『パンと植木鉢』を巡って 11月22日(土) 開催| 15:00 | 開場・受付 |
| 15:30 | イントロダクション マフマルバフ監督「パンと植木鉢」とその時代について |
| 16:00 | 『パンと植木鉢』上映(78分) |
| 17:20 | 休憩(10分) |
| 17:30 | マフマルバフ監督を迎えてトーク (聞き手:諏訪敦彦、ショーレ・ゴルパリアン) |
| 18:45 | 終了 |
| 会場 | 横浜市中区本町4-44 東京藝術大学横浜キャンパス馬車道校舎3F(大視聴覚室) |
| 入場 | 無料 |
| 座席 | 自由(先着順) |
| 定員 | 100名 |
『パンと植木鉢』
- 原題: Nun va Goldoon(英題:A Moment of Innocence)
- 邦題:『パンと植木鉢』
- 監督・脚本:モフセン・マフマルバフ(Mohsen Makhmalbaf)
- 製作国:イラン
- 製作年:1996年
- 上映時間:約78分
- 言語:ペルシア語(字幕付き上映)
- ロカルノ国際映画祭(1996)
- 青年審査員賞(Youth Jury Award)受賞
- 国際カトリック映画事務局賞(OCIC賞)受賞
- トリノ国際映画祭(1996)
- 国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)受賞
- ナント三大陸映画祭(1996)
- グランプリ(金の気球賞)ノミネート
- ベルリン国際映画祭(1997)
- フォーラム部門正式出品
登壇者プロフィール
〈モフセン・マフマルバフ Mohsen Makhmalbaf〉
モフセン・マフマルバフは、イラン・ニューウェーブを代表する映画監督であり、作家、脚本家としても世界的に高く評価されています。1957年にテヘラン近郊で生まれ、若い頃から文学と政治に深い関心を持ち、十代で革命運動や政治活動に関わる中で逮捕・投獄された経験を持つ。この体験は後の映画表現に大きな影響を与え、個人的な記憶や社会的現実を題材にした作品群へとつながっていった。
〈諏訪 敦彦 SUWA Nobuhiro〉
映画監督・東京藝術大学大学院映像研究科教授
1960年広島生まれ。テレビドキュメンタリーの演出を経て、97年初長編「2/デュオ」を発表。完成台本を用いない即興演出が話題となり、ロッテルダム国際映画祭NETPAC(最優秀アジア映画)賞受賞。99年「M/OTHER(マザー)」をカンヌ国際映画祭監督週間に出品し、国際批評家連盟賞を受賞。その他の主な作品に「H Story」「パリ・ジュテーム」(オムニバスの一編)「不完全なふたり」(ロカルノ国際映画祭審査員特別賞)「ユキとニナ」など。17年にジャン=ピエール・レオー主演の「ライオンは今夜死ぬ」を発表。昨年、「風の電話」が第70回ベルリン国際映画祭ジェネレーション14プラス部門で上映され、準グランプリに当たる国際審査員特別賞を受賞した。現在、是枝裕和監督らとともに日本映画界への提言を行う「日本版C N C設立を求める会」の中心メンバーとして活動している。
〈ショーレ・ゴルパリアン Shohreh Golparian〉
映画プロデューサー、翻訳家、東京藝術大学大学院映像研究科客員教授。
イラン生まれ、大学卒業後1979年初来日。1982年よりイラン大使館で大使秘書として勤務。1989年帰国後イランイスラム共和国放送で「北の国から」「はね駒」など日本作品を紹介、字幕翻訳を担当。1992年再来日し、NHKでの通訳の仕事を契機に日本でイラン映画に携わり始める。多くのイラン映画作者の作品を日本に紹介し、日本映画のイラン公開にも尽力する。近年は映画製作も手がけ主な作品は「アフガン零年」(2003/セディク・バルマク監督)、「CUT」(2011/アミル・ナデリ監督)、『ライク・サムワン・イン・ラブ』(2012/アッバス・キアロスタミ監督)「MAKI マキ」(2017/ナグメ・シルハン監督)、「ホテルニュームーン」(2019/筒井武文監督)など。2014年より東京藝術大学の特任助教、2019年より客員教授に就任
2018年7月、 外務大臣表彰を受章
2019 年3月 、日本映画ペンクラブ特別功労賞を受賞
2020年11月、旭日双光章を受賞
刊行物:
1994年12月 「そして映画はつづく」翻訳
2021年9月 「映画の旅びと」がみすず書房より出版される。
主催:東京藝術大学大学院映像研究科 横浜市にぎわいスポーツ文化局
※本講座は、東京藝術大学大学院映像研究科と横浜市にぎわいスポーツ文化局が連携して行う地域貢献事業です。
問い合わせ先:東京藝術大学大学院映像研究科 geidaimovie@gmail.com / 050-5525-2681(公開講座担当)
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