教員と領域 | アニメーション専攻

平面アニメーション領域

フレーム侮に制作した画面が連なって映像となるアニメーションは、技法としては至ってシンプルだが、形にするためには様々な選択肢が広がっている。二次元の絵や人形など、現実とは少しずれた素材をフレーム単位で創作し、そこに写った素材の物質性を通り越し「モノ」を「コト」に変え、泄界をメタファーとして描写する。アニメーションは、形而上の世界を形而下へと可視化する装置であり、それは絵空事の空想だけではなく、そこには意図しなかった情動が記録される可能性もあり、もっと生々しく内部を照射する、ある意味では忌まわしい強力な内視鏡にもなってしまう。奥深い内面を表現しうる可能性と同時に、剥き出しの欲望や、まったくもって軽薄な思想を映し出してしまう恐ろしさも持っていることは自覚する必要がある。アニメーションの特性を理解しつつ、創作を通じて独自の美学を見出していきたい。

山村浩二

山村浩二 教授

1964年生まれ。90年代「パクシJ 「パベルの本」など子供向けアニメーションを制作。「頭山」(2002年) が第75回アカデミー賞にノミネート、アヌシー、ザグレプ他6 つのグランプリを受賞、「今世紀100年の100作品」に選出される。「カフカ田舎医者J (2007年) がオタワ他7つのグランプリを受賞。「おやおや、おやさいJ 「ばれ一ど」他絵本画家としても活躍。第30回川喜多賞受賞。映画芸術科学アカデミー会員、ASIFA 日本支部理事、日本アニメーション協会副会長。

立体アニメーション領域

領域名が指す「立体」は、平面的なドローイング(2D)に対しての「Stop motion animation」= 「物体(3D) のコマ撮り」、という技法的視点からのカテゴライズを意味します。実際、立体やパペット・アニメーションを目指す学生には、造形や撮影まで特殊な技術の修得が必要なので、とても有効な学ぴの場と言えます。一方、ここ数年では、世界の芸術大学から、カットアウトや、半立体、実際の風景や人物、特殊な素材の物質感や、ドローイングを組み合わせた「新世代のストップモーションアニメーション」と言うべき作品が生まれてきています。それら、技法のボーダーレスとも言えるアニメーション表現の新ステージに柔軟に対応してゆくのがこの領域の特徴と言えます。

伊藤有壱

伊藤有壱 教授

1962年生まれ。アニメーションデイレクター。ビジュアルエフェクツスタジオ「白組」、CGプロダクションを経て、1998年アニメーションスタジオ「I.TOON Ltd.」を設立、同代表。立体を中心に多種技法を融合したプロジェクトは、放送20年を超える「ニャッキ! 」(NHKE テレ)、チェコZLIN FILMFESTIV AL で最優秀アニメーション賞他受賞の「HARBORTALEJ(2011)、「花王キュキュット」TVCM、コマ撮りソフト「CLAYTOWNJ 共同監修など多岐にわたる。日本アニメーション協会理事。ASIFA-JAPAN 会員。

企画制作領域

アニメーションを社会とのコミュニケーション手段としてとらえた場合、それが持つ可能性は無限に広く、かつとてもパワフルです。劇場やテレビにおいての驚くべき空想世界の共有であったり、日常生活において、人々を安心、安全な行動に導くインターフェースであったり、アニメーションは、アイデア次第で、時間、空間そして言葉を超えて共有できる、魅力に溢れた表現だと思います。企画制作領域では、アニメーションの可能性を最大限に拡張し、発揮する企画の立案と、その実現に重点を置き、そこから提案できる、作り手と受け手の強力なコミュニケーションの構築に取り組んでいきたいと思っています。そこには新しいメディアやテクノロジーの応用も含まれます。一方で、アニメーションの持つ最大の特徴のひとつは、動きから生み出される「物語」だと考え、受け手との間に、この「物語性」をいかに紡いでいけるかが、アニメーションにおけるサステナビリティ(持続可能性)だと考えています。

岡本美津子

岡本美津子 教授

NHK プロデューサーを経て現職に就任。2000年から映像作家の登竜門番組「デジタル・スタジアム」、イペント「デジタルアートフェスティバル(DAF)東京」を企画・制作。2010年から本学の佐藤雅彦教授とともにNHK Eテレ月~金で放送中の「2355」「0655」を企画・制作。2012年から映像を学ぶためのrテクネ~映像の教室Jを企画・制作。

研究・理論領域

アニメーション研究は近年、裾野が拡がり、研究成果も着実に増えています。しかし未だ「アニメーション学」といえるほどの体系化は成されておらず、手つかずの研究テーマは山ほどあります。先行研究が必ずしも十分とは言えない状況の中で、研究の拠り所となりうるのは、アニメーションが生み出される「現場」ではないでしょうか。自らが現場の中に飛び込み、そこで得られた知見に基づく理論を構築し、その理論を実践へと還元する、いわゆる「実践に基づく研究」に取り組む上で、ここほど適した場所はなかなかありません。周囲には映像表現の本質を追求し、日夜制作に励む仲間がいる。世界中から作家や研究者たちが訪れ、議論できる機会もある。こうした刺激に溢れた環接の中で、自らの「問い」を立て、実践を通じてその「答え」を見つけ出し、それを説得力のある形で社会化していけるような、実践的研究者、教育者、制作者を育てたいと考えています。

布山タルト

研究・理論領域
布山タルト 教授

90年代から3DCGアニメーション作品を制作。2003年からアニメーション制作デバイスの開発を始め、国内外の美術館で体験型展示やワークショップを行う。開発したコマ撮りアプリ「KOMA KOMA」は世界で80万回以上ダウンロードされている。産学連携による人材育成カリキュラム開発、精神医療へのアニメーション活用など実践研究に取り組む。日本アニメーション学会副会長。

専門科目

  • 大口孝之(アニメーション史)
  • 大塚英志(漫画・映画表現論)
  • 片渕須直(漫画・映画表現論)
  • 岸野雄一(アニメーションサウンド論)
  • 高山博(アニメーションサウンド論)

共通科目

  • 黒瀬陽平(現代芸術論)
  • 椎名ゆかり(マンガ論)
  • 三宅隆太(物語理論)
  • キャレン・セバンズ(国際映画文化論)
  • リピット水田堯(映画学)