RAM|メディアプロジェクトを構想する映像ドキュメンタリスト育成事業 2020年度研修生公募

ポストドキュメンタリー、その芸術実践を目指して

東京藝術大学大学院映像研究科では、ノンディグリープログラムとして「メディアプロジェクトを構想する映像ドキュメンタリスト育成事業」(通称、RAM Association: Research for Arts and Media-project)を実施します。3年目となる2020年度は、自らの芸術表現をより具体的に展開し、活動の幅を広げたい方々を研修生として募集します。

RAM Associationは、芸術の社会的な役割が問われているなかで、同時代芸術としての新たな問いを発見し、それをいかにして表現していくのか、先鋭な芸術表現とプロジェクト実践を探求する場になることを目指しています。映像表現やパフォーミングアーツなどの概念や技術を習得するだけではなく、アクチュアルな実践者たちが互いに学びあう機会を通して、表現行為をめぐって根源的な問いを立てていきます。2020年度も引き続き「ポストドキュメンタリー」をテーマにして、従来の表現形式における伝え方を再考し、新しい枠組みをメディアプロジェクトとして構想していく実践的なプログラムです。映像ドキュメンタリストの名のもとに、RAM Associationでは創造的な活動を行うことのできる人材の育成を図っていきます。

RAM Associationに参加する研修生は、自らの研究や制作をもとにリサーチ、フィールドサーヴェイ、インタヴューといった同時代の諸問題を取り扱う方法論を探究し、都市や社会、あるいはアジア太平洋地域をめぐって活動を展開していきます。今年度もさまざまな芸術実践のプロジェクトを立ち上げて、共に取り組むコレクティヴな活動によって、知見と経験を高めるプログラムを設けています。またRAM Associationは、大学といった研究機関や、アートセンター及び美術館といった文化施設、オルタナティヴ・スペースなど、国内外の芸術実践の現場と連携していくことで、学際的なプラットフォーム形成を目的にしており、研修生の活動を進展させていく機会を提供しています。


募集要項

対象者|同時代の表現行為を実践的に問い直そうとするアーティスト、演出家、研究者、エンジニア、プロデューサー、編集者、プロジェクトマネージャーなど。※学生応募不可。博士課程在籍の方のみ応募可。
研修期間|2020年7月〜2021年3月末まで
定員|20名程度

教材費|50,000円
※リサーチ・ラボや成果発表に関する実費。制作費は各自ご負担ください。
※教材費の支払い猶予等も可能ですので、希望の方はご相談ください。

募集期間|2020年6月19日(金)~ 6月30日(火)23:59 締切 
※資料提出締切 7月5日(日)23:59 締切
※応募は締め切らせていただきました。
選考方法|事務局による書類審査により決定。結果はメールで通知します。
合否通知|2020年7月中旬
初回オリエンテーション|2020年7月25日 (土) および 26日 (日)[予定]
※詳細は合格者にのみ後日メールでお知らせ致します。

お問合せ|geidairam@gmail.com


プロデューサー
桂 英史[メディア研究・図書館情報学/東京藝術大学大学院映像研究科教授]
高山 明[演出家/東京藝術大学大学院映像研究科教授]
シニアフェロー
今福 龍太[文化人類学者・批評家/東京藝術大学大学院映像研究科特任教授]

ディレクター
和田 信太郎[メディアディレクター/東京藝術大学大学院映像研究科助教]

フェロー
青柳 菜摘[アーティスト]、飯岡 幸子[映像作家]、カニエ・ナハ[詩人]、玄 宇民[映像作家]、田中 沙季[Port都市リサーチセンター]、Jang-Chi[アーティスト・コレクティヴ オル太]、潘 逸舟[美術家]


開催予定のプログラム

新型コロナウイルス感染症の対策として、オンラインを中心にプログラムを実施していきます。事態の状況によっては実施方法を段階的に見直していくこともありますが、年間を通してオンラインにて参加できるプログラムに変更しました。研修生は、下記にあげるプログラムを各々の制作・研究に合わせて選択することができ、社会人でも働きながらご自身のスケジュールに応じた参加が可能です。RAM Associationでは、さまざまな知見と経験を得ながらセルフ・プロデュース能力と表現力の向上を図っていきます。

■メディア・スタディーズ
メディアや社会の特性を多角的に理解するレクチャー・シリーズ
アートマネジメントの有用性が求められている中で、メディアテクノロジーや社会環境をどう捉えるかだけではなく、そこにどう問いを見出していくかといった批評性を獲得していくことがレクチャー・シリーズの狙いです。常に変動しつづける世界を確実に捉えて応答していくにはどうすればよいのか。メディアや社会を理解する困難さに迫っていくことで、研修生がは各自の活動の意味に自覚的になり、社会規範や制度の歴史を探求していきます。基礎的な知識を講義で補充していきながら、研修生は個々の課題を提示し、講師との対話を重ねていく議論を重視したレクチャーです。同時代の諸問題と向き合い、未踏のメディア表現を切り開く実践について議論していきます。
[参加形式:講座]月1回程度オンラインにて開講予定

■オープン・レクチャー
テーマを開発する技術と実現プロセスに着目するオープン・レクチャー企画
芸術表現に取り組むにあたり、作家に関わらずテーマ(主題)を見出すことは不可欠であり、都市や社会に潜在する問題をどのように考えていくか、どのように社会に投げかけていくか、その切り口としてもテーマ開発は無視できません。本プログラムでは、様々な専門家や芸術における実践者たちを招聘し、対話形式のディスカッションを研修生自らがオープン・レクチャーとして企画していきます。テーマ開発をする柔軟な能力と、企画をリアライズする実践的な学習によって、より切実な問題意識を見出していくことを目指しています。オープン・レクチャーは、一般公開で同時代的な問題を深める場とし、研修生はそのドキュメントを制作していきます。
[参加形式:企画運営、オープン・レクチャー]隔月1回程度オンラインにて開催予定

■リサーチ・ラボ
ゼミ形式での調査研究/共同調査/活動報告/理論構築

研修生自らの活動(制作、研究、企画、マネジメント)をアクチュアルな実践として展開していくために、ゼミナール形式で各自の発表を定期的に行い、自己の立ち位置や表現手法に関しての理解を深めて学術的な知見を習得していきます。映像表現やパフォーミングアーツを用いた表現が増えていくなかで、「芸術実践」や「ポストドキュメンタリー」についての言説は国内において少なく、人文諸科学に準拠した議論が多いことは否めません。リサーチをめぐる研究会(リサーチラボ)、リーディングセッション(輪読会)、ビューイングプログラム(展覧会や上映会の企画者との議論)、芸術動向調査の44つの場を通して、芸術をめぐる議論を深めていきます。
[参加形式:ゼミナール、ラウンドテーブル、フォーラム]月2,3回程度オンラインにて開催予定

■フィールド・サーヴェイ&インタヴュー
芸術実践のための実地調査と対面調査

日本を含むアジア圏、または環太平洋地域において芸術をどのように理解していくか、その理論と実践が問い直されている中で、フィールドサーヴェイ(実地調査)やインタヴュー(対面調査)という方法を改めて再考します。通常の調査は、他者との相互作用に基づくものであり、現場での関係形成や身振り、インフォーマント(情報提供者)に何を求めるのか、また、その作品化のプロセスには倫理についての問いが常に課せられています。今年度は、オンラインでその直接的な関わりが可能かどうかを議論し、表現活動における「移動」や「コミュニケーション」の在り方に迂回路を見出していきます。他者を表象すること、その難しさをめぐって、各自がテーマを立て、リサーチの対象をどう引き受けていくか、芸術実践のための調査に向き合っていきます。
[参加形式:プロジェクトワーク]プロジェクトごとに年間を通じて開講予定

■RAM PRACTICE
現実や事実を再構成する手法を見出し、新たな芸術実践を構想する

RAM PRACTICEでは、大きく2つの枠組みを今年度は設けました。1つは、展覧会や上映会の実施。研修生の活動を対外的に発信していくための場として、作品及び企画のプランニングやプロポーザルを作成し、他のプログラムと連動しながら、展覧会や上映会の形式での発表を目指します(今年度はオンライン開催の予定ですが、今後の事態によっては、実空間での発表と合わせてハイブリッドの開催も検討中です)。もう1つはコレクティヴな活動です。ポストドキュメンタリーやリサーチベースト・アートの言説を敷衍して、映像のワークショップや、メディアプロジェクトを開発する実験的な試みに挑戦します。コミュニティや新しい伝え方をめぐって議論を深めながら、映像メディアを使った先駆的な実践に取り組みます。
[参加形式:上映会、展覧会、プロジェクトワーク]プロジェクトごとに通年


過去の事業実績

Document Movie 2019-20

Document Movie 2018-2019

2014年~2016年は「リサーチ型アートプロジェクトのための人材育成事業(geidaiRAM)」を実施しました。
http://geidai-ram.jp/ram1/

2016年度 https://youtu.be/bK4NKj8Tc5o
2015年度 https://youtu.be/PYMlg5UctqQ
2014年度 https://youtu.be/Kd7XkhxxlgU


グラフィックデザイン:山田悠太朗
プレスリリースデザイン:村田萌菜
パブリックリレーション:澤本望、西本健吾
プロジェクトマネジメント:佐藤朋子、中島百合絵
ディレクション:和田信太郎

RAM Associationウェブサイト http://geidai-ram.jp/