修士二年の映像作品は、それぞれの部屋ごとに分かれて上映されます。タイムテーブルは以下の通りです。
シングルチャンネル・ビデオ
約30分
本作は「車の運転」から、関係性の在り方を再考する自分のためのレッスンである。車と物との距離を調整し、互いの意思を汲み取ることで、道路の平和は保たれる。「車と自分」だけの関係にはなれない道のなか、どうハンドルを切るのか。また、展示空間のしつらえは作者の研究・実践領域である西洋近代魔術を基にした「より良く生きる」ための展開であり、象徴のリマインドであり、映像と現実の照応であり、そして設備である。
マルチチャンネル・インスタレーション
『彼らは賛美の歌をうたった』と合わせて約30分
日中戦争から帰還後、空襲で家族を失った曾祖父の戦後PTSDを出発点に、戦争による心的外傷が世代を越えてどのように継承されているのかをテーマに、その痕跡を記録した映像作品。映像内では、家庭に潜在する軍隊的思想やトラウマの世代間伝達について取材している。家庭の中で戦争の加害と被害がねじれながら繰り返され、個人の中の暴力性が形成されることを明るみし、戦後なお続く人間の苦しみに言及する。
マルチチャンネル・インスタレーション
『トラウマの声をにぎる/はなつ』と合わせて約30分
旧約聖書の中でイスラエルの民の歴史は、救済と忘却の繰り返しであると書かれている。旧約聖書詩篇「海の歌」では、イスラエルの民はモーセの海を割る奇跡に救われ讃歌を歌うが、たちまち忘却し再び罪へと落ちる。本作では、この「救済の忘却」を出発点に現代において「海の歌」が歌われる情景を描いている。二つの部屋を舞台に讃美歌とラップを交錯させ、人間の忘却への欲求と葛藤を不気味に浮かび上がらせている。
シングルチャンネル・ビデオ
約30分
明治後期に発刊され、⽇本の⼥性開放運動の先達とされてきた平塚らいてうが初代編集長を務めた婦人文芸誌である「青鞜」。青鞜の社員であった尾竹紅吉と平塚らいてうの恋愛関係は当時スキャンダルとして世間を騒がせた。尾竹紅吉はその後結婚し、陶芸家の妻である富本一枝として生きていく。彼女のゆかりの地を巡り、紅吉と一枝について残された文章や彼女の著作から、俳優との対話と演技を通して紅吉/一枝の生涯を見つめていく。